トライアル車のフレーム強度を考えるシリーズ2
Beta以外のバイクとの比較して良い所、悪い所を考えてみたいと思います。
Beta以外で私が合理的と思うのがGASGASです。
アルミを使って無い、鋼管製フレームとしてシンプルで合理的な設計ですね。
しかし、残念な所が有ります。黄色い矢印で示す寸法はもっとゼロに近づけられる筈。そうすれば
アンダーステム側の補強板を無くせたかも?でもその補強板とパイプの繋ぎ目(青い丸印)の所の
断面変化が大き過ぎるから絶対応力集中する設計ですね。
次のバイクは赤い線で示す断面より青い線で示す断面の方が大きいのは論理的におかしい。
赤い線で示す断面で充分な強度が有るなら青い線の断面も赤い線並みで十分と考えられるから。
増して赤い線で示す断面の方が断面変化が大きく破壊が発生するなら赤い線で示す断面の上側
から亀裂が入るだろ事は容易に想像できる。
次のバイクも青い丸印で示す位置で大きな断面変化が有る。恐らく危険断面は黄色い線で示した場所だから
破壊が始まるなら上側の青い丸印からだろう。
このバイクも良く似た断面変化の形状をしているが実は良く出来た設計と成っている。
赤い丸印の部位で応力集中しそうな断面変化が有るが、実はその部位は溶接では繋がっていない。
主桁とでも呼ぼうか、HRCってロゴは主桁の曲げに対して中立線辺りに書いて有ります。
中立線とは例えば主桁が曲がるとき主桁の上側は縮むし下側は伸びる変形をしますが
中央は伸びも縮みもしないのです。補強板が有る事自体を私は是としませんが補強板の接続を
変形の少ない部位で溶接する事で応力の発生を防いで居ます。流石に大企業の技術者の設計ですね。
そうやって他社のフレームと比較するとやはりBETAのフレームはよく考えられていますし、燃料タンク部は
ややこしい形状をしていますが、ハイドロフォーミングと言ういわゆる液圧で成形されているので
高額な型費が要らない作り方でこの規模の会社としては素晴らしい発想で、それももう10年以上も前から
量産に活かしているんですよ。私の常識からすると母材の板厚に比べて溶接ビードが極めて大きすぎますが
下手くそな溶接工が施工しても充分な安全率が保てるようにしているのだと思います。
なにしろ、強度以前に燃料タンクを兼ねているので漏れが有っては駄目なので不確定要素には可なりの
安全率を見込んいると私は見ています。欠陥の無い溶接って本当に出来ないんですよ。しかし何パーセントの
欠陥を見込むかって言うのは自社の現場の実力を見て図面に反映させるのが合理的ですよね。
トラ車の価値ってフレームだけでは無いので、トータルでの評価が重要でしょうが、1つの見方として
書いてみました。
コメント